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記事 17件
  • 皇治参戦で修斗の株が下がった理由

    2025-05-20 19:07 13時間前 
    ジャン斉藤の配信をインタビュー形式に無理やり改造した「皇治参戦で修斗の株が下がった理由」です!【1記事から購入できるバックナンバー】・堀口恭司の勝利にかかっている? UFC日本大会の可能性■シュウ・ヒラタ
    ・【舌打ちトーク26,000字】チャーリー柏木「堀口恭司vs◯◯◯◯を狙っています」
    ・朝倉未来vs平本蓮に見えた打撃のプレッシャーとブランク■水垣偉弥
    ・笹原圭一の「泣いて、笑って大晦日RIZIN」を語ろう【17000字!!】
    ――皇治社長から「ほな、絶対記事にすんなよハゲチャビン」というお叱りの声が飛んできてましたね。

    斉藤 「昼・夜の部のメインがそれぞれ怪我で飛んで、昇格した試合は体重超過で中止。もう1試合体重超過で調整中。オシャレ坊主・皇治のエキシありとカオスすぎる修斗…」というポストに対してですよね。とくだん怒られる内容でもないし、ボクはハゲチャビンじゃないし、ニュースサイトをやってないから記事にするわけないので、きっと◯◯◯さんのアカウントと間違えて送ってしまったんでしょう。

    ――もうオシャレ坊主にもできない◯◯◯さんにパスしないでくださいよ。

    斉藤 ボクに文句を言うにしても、めちゃくちゃ文句を言っていたRIZIN男祭りのシナ・カリミアン戦の関連ポストに噛みついてほしかったですよ。まあ、それとの合わせ技一本なのかもしれないです。

    ――RIZIN RIDIOで「男気のなかった選手は?」というトークテーマでは特に答えなかったのに、あとになってXで「男気がなかったのは皇治」とポストしたんだから、そりゃあ皇治社長もいい気はしないですよ。

    斉藤 RIZIN RIDIOはいちおうRIZINのオフィシャル番組だから、選手の悪口を言っていいものか迷ったんですよね。皇治vsシナ・カリミアンは試合前後を含めてホントに酷かったから書かずにはいられなかった。交通事故もわざと起こしたわけではないから仕方ないというか、誰もケガしなかったことは不幸中の幸い。ただ、それをネタに転がそうとするのがホントに不愉快だし、誰が禊マッチを求めてたのかって話だし、それでもやるんだったら「おいしくない試合」を組むべきで。カリミアンはたしかに物理的に危険ですけど、負けても価値は下がらない。レオナ・ペタス戦やそれこそ無名で実力派のキックボクサーとやるならまだわかるんですよ。・皇治の相手は◯◯◯にすべきだった・修斗だけが言われてしまうのは…このあとへ続く

    いま入会すれば読める5月更新記事・朝倉未来に人生を変えられた「GP8番目の男」、ついに頂きへ■水野新太
    ・川尻達也「朝倉未来は楽に勝とうとせず、あの頃に戻っていた」
    ・恐るべし朝倉未来の求心力!「RIZIN男祭り」振り返り21,000字■笹原圭一・いぶし銀のMMA職人・佐藤将光のアタマの中

    ・【傑作選】“奇人”朝日昇の「本当に恐ろしい昭和格闘技」
    ・大麻、傷害、違法オンカジ…関根“シュレック”秀樹の格闘家犯罪講座・シュウ・ヒラタが「RIZIN大好きさん」とのバトルの内幕を激白!
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    ・上谷沙弥vs中野たむは「岩谷麻優・退団」を潰したか
    ・【謎】ウナギ・サヤカは本当にそんなことを言ったのか・木村花さん急逝から5年…木村響子インタビュー「SNSに取り憑かれる前に」

    ・岩谷麻優スターダム退団、即マリーゴールド入団

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  • キャッチはどこへ消えたのか? 宮戸優光×中井祐樹「プロ・レスリング」の文化と競技論

    2025-05-20 16:35 16時間前 
    noteにバックナンバーの引っ越しに伴いDropkickブロマガにも再掲載! 2018年4月に掲載された宮戸優光×中井祐樹「プロ・レスリング」対談です。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■新旧UWFで活躍してUWFインターでは「頭脳」と呼ばれ、現在は高円寺で「C.A.C.C.スネークピットジャパン」を運営する宮戸優光氏と、日本総合格闘技のレジェンド中井祐樹氏の1万字対談が実現! 【1記事から購入できるバックナンバー】・【青春と金】格闘探偵団バトラーツの悲しき思い出……■臼田勝美インタビュー③
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    ・ダチョウ倶楽部・上島竜兵とプロレス

    ――宮戸さんと中井さんは『プロレス激本』というプロレスムックで対談されています。いまから20年前のことになりますが……。

    宮戸 中井先生がここ(『C.A.C.C.スネークピットジャパン』)にいらしたことはおぼえてますけど、何をしゃべったかは忘れちゃいましたねぇ。

    中井 ボクはおぼえてますよ。

    宮戸 ああ、それは凄いですね(笑)。

    中井 でも、いまからするとトンチンカンなことばっか言ってたので、思い起こすと恥ずかしいんですよ(笑)。まだまだ視野が狭かった頃なので。

    宮戸 ハハハハハハ。あのときビル・ロビンソン先生がジムにいたことだけはおぼえてるんですよ。

    中井 ロビンソン先生、いらっしゃいましたよね。空気を読んでか読まずか「ジャンボ鶴田戦を見ました!」と言って困らせてました(苦笑)。

    宮戸 中井先生とはあのときが初めてですよね?

    中井 そうですね。でも、ボクからすれば、宮戸先生は「シューティングの先輩」という認識ですよ。あの対談もそういうお話から始まった記憶があって。「タイガージムインストラクターの宮戸先生」として見てましたから。

    宮戸 ハハハハハハ。

    中井 やっぱりボクはマニア筋の人ですから。雑誌があれば隅から隅まで読んで「インストラクターはどういう人なんだろう?」と。 

    宮戸 インストラクターとしてお世話になったのは、1984年のことですからね。いまから35年も前のことですよ

    中井 対談をさせていただいたときすら、20年前ということですよね。あれはPRIDEができた頃だったので「修斗を東京ドームで見せるためにはどうすればいいか?」ということなんかも考えていて。PRIDEという大きな舞台ができて格闘技自体が揺れ動いたときだったんですよね。修斗も大きな舞台で見せたいという葛藤があって、本当に伝わるのか、競技がビジネスになっていくのか、なろうとしてるのか……という時期でしたね。あれはボクがブラジリアン柔術の指導者をやり始めて間もない頃もあるんです。

    宮戸 ブラジリアン柔術に出会ったのは、もっと前のことですよね?

    中井 94年夏過ぎですかね。エンセン井上を通して知ったんですが、それもいつか戦うであろうグレイシー対策だったので。洗練された技術体系を持っていたので驚かされましたけど、まさか自分が柔術家になるとはまったく思ってなかったですね。

    宮戸 ああ、そうだったんですか。

    中井 目をケガしたあとに周囲は「ブラジリアン柔術をやったら」と勧めてくれたんですが、自分としてはあまりその気はなくて。ボクの先輩の朝日(昇)さんがホイラー・グレイシーに負けたときに、やっと踏ん切りがついて柔術に挑戦してみようと。ボクがホイラーぐらい柔術が強くなれば、柔術の技術はあたりまえのようになるし、誰かがグレイシーを倒せるんじゃないか? という単純な発想ですね。

    宮戸 あくまでグレイシーを倒す目的だったんですね。

    中井 あともうひとつ、これはグレイシーが描いてた形じゃないかもしれないですが、ブラジリアン柔術は誰もができるスポーツだと思ったんです。そういう捉え方をした人は当時は少なかったはずですね。ブラジリアン柔術には失礼な言い方になっちゃいますが、格闘技をやるうえで一般人の入り口にはちょうどいいかもしれないって。

    宮戸 それは柔術をやり始めてすぐに感じられたことなんですか?

    中井 はい。逆にお聞きしますが、宮戸先生はブラジリアン柔術という存在をどういう風に捉えてたんですか?

    宮戸 ボクの人生において、ロビンソン先生と出会ったことと、そして髙田(延彦)さんがヒクソンと戦ったこと、この2つは凄く大きかったんですね。ロビンソン先生と出会ったのは92年のことなんですが、そのときに「あれ? これは俺らが教わったレスリングとは違うな」って驚いたんです。

    中井 なるほど。

    宮戸 高田さんがヒクソンに負けたことはショックだったんですけども、はたしてロビンソン先生やそれ以前のキャッチ・アズ・キャッチ・キャン(以下CACC)があった時代においても、同じような結果になったんだろうか? っていう疑問を感じて。アド・サンテルというレスラーは道着を着て、日本の柔道家にそれこそ一度も負けなかったんですよ。

    中井 アド・サンテルはルー・テーズさんにも教えたんですよね。

    宮戸 はい。そういう先輩がいたということがわかってきた中で、あの当時CACCを教わることができたのはロビンソン先生、ルー・テーズさん、カール・ゴッチさんくらい。イギリスにはビリー・ジョイスという師匠格が生きてはいましたけど、現場の人間ではなかったですからね。

    中井 それでロビンソン先生を師事されたんですね。

    宮戸 日本の柔道は柔術の部分を捨ててしまったが、日本の裏側のブラジルでブラジリアン柔術として発展を遂げていたわけですよね。CACCも誰かが何とかしないと永遠に見ることができなくなってしまうという中で、このジムを99年に開いたんですね。

    中井 ちょうど対談をした頃ですね。

    宮戸 ちょっと話が長くなっちゃいましたけど、ブラジリアン柔術はボクらからすれば最初は敵にも見えたものでしたが、彼らによってある意味プロレスというものをあらためて気付かせてくれたというか。あの気づきがなければ、いまのようにCACCを残すような考えは起きなかったかもしれない。ロビンソン先生も「グレイシーが出てきたことはいいことだ」とおっしゃってましたからね。

    中井 ボクもその話を聞きました。ロビンソン先生がそう考えていたって凄いですね。

    宮戸 それはグレイシーがプロレス界が失ってしまったものを気づかせてくれた。それを取り戻せるんだからいいことじゃないかと。ロビンソン先生は「グレイシーはグッドレスラーだ」くらいの言い方をしてましたからね。

    中井 やっぱりロビンソン先生はさすがですね。

    宮戸 実際にグレイシーは裸で戦ってましたし、ロビンソン先生は「我々のセオリーに非常に似ている」と。ロビンソン先生からすると、本当のレスリングというものはいわゆる極めっこではないんんですね。レスリングは「フィジカル・チェス」と呼ばれるように、術を使い相手の心を崩していく。「グレイシーの戦い方も同じだ」とロビンソン先生は言うんです。「相手にプレッシャーをかけ、心を仕留めていく。いまの奴らはただ狙って取りにいくだろ? そうじゃない、グレイシーのように戦うべきなんだ」と。

    中井 ボクも似てるという認識は持ってました。これはだいぶのあとのことであるんですが、ロビンソン先生の自伝(『高円寺のレスリング・マスター人間風車 ビル・ロビンソン自伝』)を『ゴング格闘技』の推薦図書として挙げたことがあるんですよ。

    宮戸 それはありがとうございます(笑)。

    中井 昔の練習方法とか「そうだよな」って頷けることがたくさん載っていて。自分も取り入れてることがあって、もの凄く感銘を受けたんですよね。

    ――以前の対談で宮戸さんは「中井さんはプロレスラーです」と言ってるんですね。

    中井 おぼえてます。大変光栄でしたね(ニッコリ)。

    宮戸 ロビンソン先生がグレイシーをプロレスラーと言ったのと同じですね(笑)。

    中井 なんて言うんでしょうか。「ちゃんとしたものを見せている」というプライドがボクの中にあったのは事実です。ちゃんとした格闘技の技術を見せている。そういう意味では「レスリングのプロである」という気持ちがあったのはたしかです。だから、そう言われたのはその当時は凄くありがたかったですね。

    宮戸 いやいや、とんでもないですよ(笑)。

    中井 宮戸先生がロビンソン先生の技術に驚かれるのは当然かもしれませんが、いままでとは何が違ったんですか?
    ・ロビンソンとゴッチの違い
    ・ロビンソン「猪木戦はCACCでやった」
    ・ルー・テーズ「下から攻めても勝てるのが本物だ」
    ・ゴッチ「新しい技なんてないんだ」
    ・大衆化することでなくなるものも出てくる……10000字インタビューは会員ページへ続く


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    ・岩谷麻優スターダム退団、即マリーゴールド入団・ありがとう、西村修さん、グラン浜田さん、永島勝司さん■小佐野景浩
    ・恐るべし朝倉未来の求心力!「RIZIN男祭り」振り返り21,000字■笹原圭一・いぶし銀のMMA職人・佐藤将光のアタマの中

    ・【傑作選】“奇人”朝日昇の「本当に恐ろしい昭和格闘技」

    ・大麻、傷害、違法オンカジ…関根“シュレック”秀樹の格闘家犯罪講座・シュウ・ヒラタが「RIZIN大好きさん」とのバトルの内幕を激白!

    ・北陸2人の天才、元谷友貴とMIKUを育てた男■福本吉記インタビュー
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  • 【RIZIN男祭り】川尻達也「朝倉未来は楽に勝とうとせず、あの頃に戻っていた」

    2025-05-18 10:07  
    RIZINフンドシ・アベンジャーズの川尻達也が語るRIZIN男祭り17000字です!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・いま最も幻想がある格闘家!日本拳法“史上最高傑作”木村柊也インタビュー
    ・「高田さんは相当強いっすよ……」ブラジリアン柔術家・高田延彦を語ろう■橋本欽也
    ・鶴屋浩 ロマンと執念の「THE BLACKBELT JAPAN」
    ・キックボクサーのMMA転向とは何か■久保優太【キャリア2年半・3勝1敗】
    ──RIZIN男祭りにオープニング、川尻さんにはびっくりさせられましたね。大人ぶって匂わせないから。
    川尻 ああ、フンドシですね(笑)。まったく匂わせなかったでしょ。エラいでしょ。
    ──カッコつけないで🔥マークで匂わせてくださいよ(笑)。
    川尻 いまはみんな匂わすからね。でも、今回は誰も匂わせなかったからプロですよ。ボクも家族以外の誰にも言ってないです。
    ──不思議がられなかったですか?「なんで身体を鍛えてるんの?」とか。
    川尻 ちょうどジムの会員さんがRIZINと同じ5月4日に推しのライブがあるから「それまで3キロ痩せて腹筋を割る」って宣言してたから「ボクも一緒にやります」ってことにして、有酸素運動をやってました。急に痩せると怪しまれるから。
    ──べつに怪しまれないんじゃないですか。
    川尻 「なんで痩せてるんですか?試合するんですか?」みたいに言われたら嫌じゃないですか。期待値が太鼓より上にいっちゃうから。
    ──たしかに。いつぐらいにフンドシのオファーがあったんですか?
    川尻  3月19日ですかね。笹原さんから話があって「10周年で、みんなで太鼓をやるからやってくれない?」って。最初は法被を着る予定だったんですよ。
    ――フンドシではなかった。
    川尻 東京ドームってファイターとしてじゃなくても、なかなか立てないから、ぜひやりたいんですけど、他人に見せられる身体はしてないから「法被でお願いします」と言ってたんですよ。でも、RIZIN香川の打ち上げのときに佐藤大輔さんが「そこはやっぱりフンドシでしょ」と言い始めて。石渡くんはめっちゃイヤがってるって聞いてたし、「石渡くんもイヤがってるし、身体がしょぼいですもん」って断っているのに、「TKはやるって言ってるよ」と。
    ──うわぁ、出た!(笑)。
    川尻 先輩の高阪さんがやる気なのに俺が「イヤです」って言えないじゃないですか。石渡くんには「川尻はやる」って言ってたらしくて、TKには「川尻くんと石渡くんはやるらしいよ」と。要は3人とも騙されたんですよ!(笑)。
    ──悪い大人だよ(笑)。
    川尻 怖いんですよ、佐藤さんと笹原さんの2人は。
    ──川尻さんは20年前から騙されてるわけですよ(笑)。そのときはまだ高田(延彦)さんが出てくるかもしれなかったわけですよね。
    川尻 あ、そうなんですか?高田さんにもオファーしたんですよね。
    ──高田さんは「出て来いや!」の掛け声だけのオファーだったみたいです。
    川尻 そうなんだ。「出て来いや!」を誰がやるのか決まってなかったらしくて。桜庭(和志)さんでもいいんじゃないですか。桜庭さんにバックステージで会ったときに「桜庭さんにも太鼓をやってほしかったですよ」って言ったら、「ボクもやりたかったよ」って。
    ──桜庭さんがやると、いったんは仲違いした高田さんへ嫌味になっちゃうからですかね。
    川尻 どうなんすかね。そこはちょっとわかんないけど。
    ──神取(忍)さんの太鼓参戦はびっくりしましたよ。
    川尻 神取さんとは、ブレイキングダウンでよく会ってたから。
    ──審査員の繋がりがある(笑)。
    川尻 知らない仲じゃないんですよ。でも、神取さん、大変そうでしたね。太鼓はめちゃくちゃ体力を使うんですよ。最初の予定では選手入場のときも全員で太鼓をやり続ける予定だったんですけど、あまりにもキツいから、ボクらは最初の2試合と最後の2試合ぐらいで捌けて。高阪さんは全部やってましたけど。
    ──TKすごい!
    川尻 すごいですよ。あれは2~3分やるだけでめっちゃキツいですよ。そういえば、佐藤(大輔)さんはインスタのストーリーでこの件を匂わせてたんですよ。
    ──全然知らなかった。
    川尻 「親しい友達(限定公開)」だから広がってなかったですけど。
    ──佐伯さんと一緒に榊原さんの脇を固めた笹原さんがフンドシにならなかった理由が最高で。「佐伯さんの裸が本当に汚いから」。面白すぎて榊原さんが目立たない(笑)。
    川尻 たしかに面白すぎますもんね(笑)。
    ──しかし、まさか川尻さんがああいう役目をやるとは想像つかなかった。
    川尻 キャラじゃない?
    ──いまだったらわかるんですけど、PRIDE武士道の頃を考えたら、20年後にフンドシになるのは誰かといえば、五味(隆典)ちゃんや青木真也なのかなと。
    川尻 そうっすかね? 逆に五味ちゃんなんか絶対やんなそうっすけどね。
    ──たしかにやんないですね。アオシン(DEEP佐伯社長夫人がつけた青木真也のあだ名)はオファーに面倒くさいことを言いそうだし。川尻さんが大人だからこそなんでしょうね。
    川尻 そうかもしれないですね。大人になったんですよ、ボクも(笑)。楽しかったですよ。いまは減量する機会もないし、何か目標を持って生活できましたから。でも、ブアカーオがやることにはびっくりした。
    ──マーク・コールマンやイリーは日本の文化を理解してますけど、外国人からするとけっこう恥ずかしい行為なんですよね。
    川尻 ですよね。ケツが丸出しですからね。
    ──川尻さん、前日のリハーサルはどんな格好でした?
    川尻 リハーサルは普通に服を着てましたよ。
    ──イリーはリハーサルからフンドシだったんですよね?(笑)。
    川尻 そうだっけかな。イリーは早く帰りたがってましたよ。「いつ終わるんだ。このあと用事があるんだ」ってずっと言ってましたよ(笑)。コールマンもフンドシ姿でずっとウロウロしてて。俺は恥ずかしくて当日以外は履けなかったっすね。会場は盛り上がってました?自分では全然わかんないから。
    ──歓声は聞こえないんですか?
    川尻 全然。スモークで会場の様子も全然見えないし。あの格好のまま第1試合の実況席に座ったじゃないですか。進行台本にTKとボクは「フンドシのまま」って書いてあるんですよ。
    ──あのフンドシ解説は最高でしたよ!(笑)。
    川尻 いや、ただの恥ずかしめじゃないですか。だってケツが後ろの観客に丸見えですよ(笑)。
    ──紹介されたときに2人揃って凛々しい顔をしていたから爆笑しましたよ。
    川尻 本当?ジャンさんを笑わせたんだったらうれしいですね。誰か1人でも笑顔にすることができれば光栄ですよ。もうファイターじゃないから、いじられるぐらいがちょうどいいの、おじさんは。
    ――RIZINの会場に毎回のように来ている娘さんの反応はどうでしたでしょうか?
    川尻 娘はね、怒ってるんですよ。休憩時間に恒例だったRIZINガールのライブがなくなったじゃないですか。そのためにRIZINに来てるのに今回はなかったから、めっちゃ怒りのLINEがあって。「私のメインイベントがない。もう帰る!」みたいな。――RIZINガール大好きさん(笑)。
    川尻 台本には休憩の予定としてホリエモンとRIZINガールのライブが書いてあったんですよ。でも、時間的にたぶん押してたんですよね。
    ──東京ドームって野球もそうなんですけど、21時半になると、鳴り物を使っちゃダメなんですよね。マイクも使えなくなっちゃうから、メインで勝ったシェイドライフがマイクなしでボソボソとキリギス語を喋る可能性があったという(笑)。
    川尻 前半も押してて実況解説にも巻きの指示があったんですよ。結局、時間どおりに終わったんですけど、ホリエモンをやるんだったらRIZINガールのほうがいいじゃんって。ホリエモンのライブは盛り上がってたのかな?スポンサー案件なのかな?
    ──昭和の昔から、休憩中に出てくる演歌歌手のスポンサーで興行は成り立ってるんですよ(笑)。現地の熱気はどうでした?
    川尻 かなり入ってましたよね。外野席、バックホームのサイドだけ席を潰しただけで、すごい入ってましたよ。
    ──あんなに入るとは思わなかったですね。井上尚弥vsルイス・ネリや、天心vs武尊の「THE MATCH」が満員になるのは総決算的なイベントだからわかるんですよね。でも、今回のRIZINは片手間とは言わないけども、壊れかけた興行なのに、こんだけ入るってすさまじいなと思いましたね。
    川尻 ただの1大会ですもんね。なんであんなにファンの熱がすごいんですか?ホントにすごかったですよ。
    ──大会残り1週間ぐらいの券売の売れ行きがPRIDE時代でも考えられないぐらい伸びたとか。
    川尻 え、マジっすか?
    ──さっき「ホリエモンはいるのか」という話が出ましたけど、今回のRIZINってプロモーションのためにいろんな企画を投げたじゃないですか。一見無駄に見えることでも、その熱がジワジワと繋がっていったんじゃないかなと。
    川尻 だからRIZINガールのダンスも必要なんですよ(笑)。
    ――試合の話も聞きたいんですけど……朝倉未来vs鈴木千裕のブレイクかける・かけない問題。川尻さんは解説しながらどう思いました?
    ・朝倉未来のブレイク対策
    ・朝倉未来はミドルキックがポイントだった
    ・Youtubeスパーの弊害
    ・30歳を超えたら組み重視
    ・鈴木千裕の選択は間違っていない
    ・UFCは理想郷ではない
    ・生まれ変わったサバテロ
    ・シェイドライフはUFC王者クラスか
    ・皇治はオシャレ坊主
    ・中村大介は回転体ではない?
    ・ペレイラの塩対応
    ・ストライカーは様子を見るな
    ・ベイダータイムはつまらない……17000字は会員ページへ続く


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  • スネーク加藤の追憶「ホテルラウンジ」

    2025-05-18 05:51  
    皆さんご存知、格闘技プロレスライター・スネーク加藤の東奔西走を追うエッセイがスタートしました。スネーク加藤さんに伺ったお話をもとにしていますが、あくまでフィクションです。実在の人物や団体などは関係ありません(文:丸井タカオ)

    スネーク加藤は格闘技プロレス雑誌の編集者だった。加藤が関わっていた媒体はとうの昔にどれも休刊しており、現在は格闘技プロレスの雑務ならどんなものでも引き受ける「なんでも屋」として食いつないでいる。この日、加藤は格闘技イベント「サンダー」の記者会見を取材し、疲れた足取りで帰路につこうとした。ホテルのロビーラウンを横切るその瞬間、何気なく店内に目を見やると、見覚えのある男がコーヒーカップを手に談笑していた。

    「立岡……立岡洋二だ」

    かつて存在した格闘技メジャーイベント「スピリット」。そのプロデューサーが立岡洋二だった。加藤は「スピリット」の大会パンフレットで立岡の連載インタビューの担当をしており、この同じラウンジで何度もランチを共にしながら話を聞いてきた。

    「立岡がまた戻っているとは聞いていたが……」

    立岡は関係者らしき男たちと談笑している。加藤の胸に、懐かしさと疑問が同時に湧き上がった。「このカフェはコーヒー1杯、2000円はするはずだが、立岡は払えるのかな……」<続きは会員ページへ>

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  • ありがとう、西村修さん、グラン浜田さん、永島勝司さん■小佐野景浩

    2025-05-16 10:40  
    プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は西村修さん、グラン浜田さん、永島勝司さんを語ります!(3月に配信されたものを編集した記事です)

    <1記事から¥100から購入できる連載記事! クリックすると試し読みできます!>
    追悼・小林邦昭さん
    孤高のプロレスラー、小川良成引退
    最高のプロレスラーだった曙さん
    令和の女子プロ! 小佐野景浩の東京女子プロレス講座
    中嶋勝彦を見よう/「プロレスの仕組み」論
    追悼“テキサスブロンコ”テリー・ファンク
    清宮海斗の「顔面蹴り」と「平和ボケ」
    私が愛した“若獅子”アントニオ猪木この旦那にしてこの妻あり!! 天龍源一郎を支えたまき代さん
    頑固一徹! 追悼・ターザン後藤さん
    『至高の三冠王者 三沢光晴』を書いた理由
    プロレスと結婚した風間ルミさん
    武田有弘☓小佐野景浩 「これまでのノアと、これからのノア」

    『ゴング』と東スポの元記者が語るプロレスマスコミ黄金時代/小佐野景浩☓寿浦恵一
    【14000字対談】小橋建太☓小佐野景浩「あの頃の全日本プロレスを語ろう」
    北尾はなぜ大成しなかったのか■柴田惣一☓小佐野景浩 マスコミ大御所第2弾柴田惣一☓小佐野景浩 プロレスマスコミ大御所対談「スクープ合戦はガチンコの闘いだった」全日本プロレスの「うっかり八兵衛」が明かす全日本秘話あの日の全日本プロレス、SWSを語ろう■北原光騎×小佐野景浩嗚呼、阿修羅・原……修羅ごときそのレスラー人生!!
    冬木弘道は「俺はやっぱり死ぬんだな」とニヤリと笑った…


    ――今回は、先日お亡くなりました西村修さん、グラン浜田さん、永島勝司さんのことの思い出を振り返っていただきます。まず西村さんは闘病中でしたが、退院したばかりだったので急でした。

    小佐野 まだ53歳、若すぎるよねぇ。

    ――西村さんとは古いお付き合いですよね。

    小佐野 そうですね。いつ西村くんと知り合いになったのかをたどってたんですが、思い出せない。たぶん新日本プロレス時代なんだけど、もしかしたら海外修行から帰ってきたぐらいなのかなあ。去年の今頃、癌がステージ4だということがわかって、8月にドリー・ファンク・ジュニアとタッグを組んで大仁田厚との電流爆破デスマッチをやりましたよね。

    ――84歳のドリーさんと癌ステージ4の西村さんの電流爆破……。

    小佐野 ドリーのトークショーや試合後のインタビューなんかは西村くんがセッティングしてくれて。「体調はどうなの?」って聞いたら「ドリーさんが帰国したらまた入院します」なんて言っててね。

    ――いろんな意味で身体を張ってたわけですねぇ。

    小佐野 ここ何年間かはドリーが来日するとGスピリッツでインタビューを毎回してたんだけども、毎回西村くんがセッティングしてくれたんです。

    ――それはドリーさんから信頼されていたってことですか?

    小佐野 そういうことだよね。ドリーさんの奥さんであるマーティ夫人は、まあ一部のファンに知られているけどもけっこう強烈な御方で(笑)。2人の面倒を見られる日本人は西村修だったわけですよ。

    ――弟のテリー・ファンクとドリーの仲がこじれたのはマーティ夫人の存在も理由のひとつと言われてますね(笑)。西村さんはマーティ夫人もコントロールできると。

    小佐野 ドリーさんがやってるフロルダのローカル団体で西村くんがチャンピオンだったんだけど、知らないあいだにベルトを落としたんだよ。「あれ、いつベルトを取られちゃったの?」って聞いたら「いや、マーティさんとケンカして剥奪されました(笑)」って。

    ――ハハハハハ!世界最強のコミッショナーですね(笑)。

    小佐野 で、また仲直りするとまたチャンピオンに返り咲くと(笑)。西村さんのお通夜には出させてもらったんですが、びっくりしたのがジョー・マレンコに会いました。

    ――わざわざフロリダから!

    小佐野 マスコミの人もあんまり気づかなかったんじゃないかな。

    ――そこはカール・ゴッチさん繋がりなんですかね? 晩年のゴッチさんをお世話してたのは西村さんですよね。

    小佐野 そうそう。ほら、ゴッチさんのお墓を南千住の回向院に作るときもジョー・マレンコがゴッチさんのお骨を持ってきたでしょ。ちなみに回向院の住職は私が高校生時代にやっていた新日本ファンクラブ『炎のファイター』の会員だったんです(笑)。

    ――すごい繋がりです(笑)。

    小佐野 あの電流爆破のあとの10月に、映画『いかレスラー』20周年記念と西村修を応援しようという上映会イベントが池袋であったんですよ。

    ――西村さんは伝説のカルト映画『いかレスラー』の主演でしたねぇ。

    小佐野 そのときの西村くんはかなり具合が悪くてね。いつもはすごく理路整然と喋れるんだけど、質問されて答えてるうちに質問を忘れてしまう状態だったんですね。本人もあらかじめ「受け答えがおかしくなっちゃうけど、勘弁してください」と言っていて。でも、今年の新日本イッテンヨン東京ドームを家族で観戦に来てたときは脳の手術も終わってて。一時期むくんでいた顔もシュッとしていたし、普通に会話ができていたから。その矢先のことだったんで……。
    ・西村修の藤波辰爾への思い
    ・前代未聞だった無我離脱
    ・グラン浜田がいなかったら日本のルチャはない
    ・永島勝司の重要な役割
    ・東スポ流は永島さんから始まった?……10000字の続きは会員ページへ


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  • 朝倉未来に人生を変えられた「GP8番目の男」、ついに頂きへ■水野新太

    2025-05-14 19:28  
    キャリア5戦でDEEPフェザー級GP「8番目」に抜擢され、決勝戦に進出した水野新太インタビューです!(聞き手/松下ミワ)【1記事から購入できるバックナンバー】・セコンド大塚隆史が見た朝倉未来戦「蓮くんは五輪アスリート級の取り組み方だった」
    ・赤田プレイボイ功輝ロングインタビュー
    ・浅倉カンナ、第二の人生へ「これで終わるんだ、これで最後なんだ……」
    ・大晦日プロデビュー!! 「美しきドブネズミの伴走者」平本丈インタビュー
    ――DEEPフェザー級GP準決勝の海飛戦、激闘の末の勝利でめちゃめちゃ面白かったです!
    水野 ありがとうございます! けっこうそういう声が多くてうれしいですね。
    ――3ラウンド残り30秒で水野選手が流血して。金髪が赤く染まっていくのも凄く絵になる試合でした。
    水野 本当はあんなケガしたくないですけど、いつの間にか血が出てましたね。あと倒された右フックが効きました。フラッシュダウン的な感じで一瞬、何も見えなくて。自分も打ち気になってたんで、たぶんガードが甘くしたからパンチをもらったんだと思うんですけど。だから、しがみついて最後はひたすら耐えました。
    ――カットはヒジだったんですかね?
    水野 そうです。自分では「金網で擦ったのかな?」と思ったんですけど、どうもヒジだったらしくて。最後の最後でケガしちゃいましたけど、めっちゃ楽しかったです! ただ、最後の殴り合いは大沢(ケンジ)さんの声がけっこうイヤで(苦笑)。
    ――ああ~(笑)。大沢さんは海飛選手のセコンドでしたけど、不滅の鉄喉から大声で指示を飛ばしてましたよね。
    水野 その指示がまた的確なんですよ。「効いたぞ!」「イヤがってるぞ!」とか。べつにイヤがってはないんだけど、たしかにちょっとイヤなタイミングってあるじゃないですか。それを指摘されると意識しちゃって、逆に攻められたりしたところもあったんで。で、3ラウンドに大沢さんの「最後、行け!」みたいな指示で海飛さんも倒しに来てたんで。ボクも「じゃあ、やってやるか」と思って打ち気になったところで効かされたんでね。
    ――そう聞くと大沢さんの声って惑わされますね(笑)。
    水野 めっちゃイヤですよ(苦笑)。指示が的確なのがよけいにやりづらいっす。
    ――今回はタックルも織り交ぜながらの粘り強い戦い方が印象的でしたが、戦前はどういう作戦を立てていたんですか?
    水野 自分ってけっこう練習でも体力あるタイプというか、瞬発型ではないんですけど。みんなが練習でバテてるときも自分はバテてないことが多いんで、大塚(隆史)さんがそれに目をつけてくれたんですよね。海飛さんは瞬発型なんで、作戦では「相手を疲れさせよう」と。テイクダウンも切られる想定だったんですけど、切られてもとりあえず行く。クリーンにテイクダウンできなくても相手は立つ動きだけで疲れるんで。
    ――相手の瞬発力を消すために、とにかく疲れさせる。
    水野 それで最後の最後に仕留める作戦だったんですけど、思った以上に汗で滑ったり、自分も力を使いすぎたり、あとは海飛さんが意外と体力が残ってたりして、そこは想定外でしたね。
    ――少し想定外のことがあったとはいえ、ほぼ作戦どおりですね。
    水野 大塚さんと2人でつくり上げたものがハマったなと思いました。自分はそれを信じて戦ってたんで、本当に大塚さんの声をずっと聞いてましたね。
    ――これまでの水野選手の試合を見ると打撃の印象が強かったですけど、今回でいろんな戦い方ができるんだなと。
    水野 これまではあんまり見せてこなかったですけど、自分は全部できるようになるのがカッコいい格闘家だと思うので。石司(晃一)さんがまさにそうじゃないですか。
    ――水野選手は石司選手と親交が深いですもんね。
    水野 石司さんって全部できるし、自分の憧れている人なんで。だから打撃だけやってテイク切って寝技をやらないというんじゃなくて、べつにそこでも勝負できるし、全部で勝負したほうが普通にいいなというのが最初からあるので。
    ――見ているほうは水野選手がこのトーナメントで試合ごとに覚醒している印象で。実際、注目度もどんどん上がってますよね。
    水野 なんか、勝っていったらいつの間にか上がってました(笑)。友達からもめっちゃ連絡くるし、SNSとかも応援してくれてる人が増えたんで、それはめっちゃうれしいなって。なんですかね、いま波に乗れてるなって感じです。
    ――そんな水野選手は、朝倉未来選手への憧れから格闘技をはじめたそうで。
    水野 ああ、そうなんですよ。
    ――そういう意味では、DEEPの前日に行われたRIZIN東京ドーム大会の朝倉未来vs鈴木千裕はどうご覧になったんですか?
    水野 いやあもう、ボクがあの海飛戦で作戦を実行できたのは、正直、未来選手の試合のおかげもあって。未来選手、けっこう泥臭く戦ってたじゃないですか。それに勇気をもらいました。未来選手でもああいう戦い方をするし、連敗しててああいう大きな舞台で勝つというのは……(しみじみと)。自分はそのとき計量が終わってリカバリーしてて。焼肉を食いながら未来選手の試合を観てたんですけど、緊張してご飯が食えないんですよ(苦笑)。
    ――そのくらい思い入れを持って観てたんですね(笑)。
    水野 鈴木選手もパンチを振るから「危ない! 怖い、怖い!」みたいな。だから勝ったときは正直、泣きそうになりましたねぇ。
    ――自分の大一番を前に! 未来選手は連敗でしたし、一度引退もされてたわけですけど。
    水野 でも、なんか最近はだんだん選手目線で見てるというか、いまはもう同じ立場なんでね。昔とはちょっと違う感覚にはなりました。だから、アマチュア時代に観たクレベル・コイケ戦とかはもう号泣です!
    ――めちゃめちゃファン(笑)。
    水野 マジで悔しくて大号泣したし、試合観ながら「三角絞めから逃げてくれ~!」みたいな。それぐらい好きでしたね。
    ――でも、水野選手って平本蓮選手ともちょっと近いというか。大塚さんのところで練習するときに一緒になったりしますよね?
    水野 そうなんです(苦笑)。だから複雑ではあるんですけど、平本さんも仲間思いでめっちゃいい人だし、これから一緒に練習しようという話になってて。けど、そこは未来選手と平本さんの2人の関係なんでボクは関係ないし。だから2人の世界には入らないって感じっす。とりあえず2人ともボクは好きです。
    ――ちなみに、水野選手は鈴木千裕選手とも地元が一緒ということで。
    水野 そうなんですよ。話したこともないので、単に地元が一緒ってだけなんですけどね(笑)。けど、鈴木選手もめちゃくちゃ好きですよ。とりあえずボクはファンから入ってるので、全ファイターが好きです!
    ――ファイティングスピリットが鈴木選手に似てるなんて声もありますが、水野選手も毎回めっちゃ試合が面白いじゃないですか。それは、自分の中で何か課してるものがあるんですか?
    水野 いやー、まったくないです。今回もドロドロの展開で勝とうと思ってたんで、逆にあんまり面白くない試合になると思ってたんですけどね。まさかこんな激しい試合になるとは思わなかったです。
    ――打撃戦で引かないのも凄いですし。
    水野 たぶん練習でも負けたくないというのが強いんですよ。練習で激しい打ち合いはしないですけど、やっぱりもらったら返したくなるし、やられたらやり返したくなるし。
    ――じゃあ、あまりお客さんを意識してというわけでもないんですかね?
    水野 ないです。自然とそういう試合になることが多いですね。
    ――もう天性のエンターテイナーなんですね。子供の頃はどんな子だったんですか?
    水野 子供のときはすぐ暴れる“異常者”でした。
    ――ど、どういうことですか?
    ・朝倉未来のYouTubeに出会って…
    ・背中で語る石司晃一
    ・DEEPに憧れて
    ・入場曲『翼をください』は、お母さんのため
    ・コーチ大塚隆史
    ・平本蓮とのスパーはヤバかった
    ・とにかく朝倉未来のマネをした……12000字インタビューは会員ページへ


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    ・北陸2人の天才、元谷友貴とMIKUを育てた男■福本吉記インタビュー
    ・上谷沙弥vs中野たむは「岩谷麻優・退団」を潰したか
    ・【謎】ウナギ・サヤカは本当にそんなことを言ったのか・木村花さん急逝から5年…木村響子インタビュー「SNSに取り憑かれる前に」


    ・岩谷麻優スターダム退団、即マリーゴールド入団■

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  • 【過去記事】シュウ・ヒラタが「RIZIN大好きさん」とのバトルの内幕を激白!

    2025-05-14 16:55  
    noteにバックナンバーの引っ越しに伴いDropkickブロマガにも再掲載! 2020年8月に掲載されたシュウ・ヒラタが「RIZIN大好きさん」とのバトルの内幕を激白!をお届けします
    【1記事から購入できるバックナンバー】
    ・赤田プレイボイ功輝ロングインタビュー・佐藤大輔☓笹原圭一■格闘技の煽り方にまつわる雑談24,000字

    ・【舌打ちトーク26,000字】チャーリー柏木「堀口恭司vs◯◯◯◯を狙っています」
    ・RIZINガールからRIZIN広報に! 横島加奈さんインタビュー
    ――癌を偽り選手から励ましのメッセージをもらうばかりか、選手が試合で使用したコスチュームなんかをプレゼントしてもらったり、ネットでの盛り上がりを受けてRIZINが癌チャリティーTシャツを作成しする話に発展……以前のこのコーナーでも名前を伏せて取り上げた「RIZIN大好きさん」の件で突如大きな動きがありました。今年の初め頃からシュウさんは「この方はちょっと怪しいんじゃないか?」という話をしていましたが……。

    シュウ はい、けっこう前から話はしてましたね。
    ――最近になって「癌ではないのでは?」という疑惑がクローズアップされてきましたが、とくに大きな広がりを見せることなく収束するかと思いきや、なんと「RIZIN大好きさん」本人が別件でシュウさんに噛み付いてくるという事態に。それをきっかけにシュウさんが「RIZIN大好きさん」を追求。最終的に「RIZIN大好きさん」の奥さんがRIZINを通して、癌であることは嘘だったと謝罪することに。
    シュウ あれは、なんで絡んできたんでしょう?(苦笑)。
    ――なぜそこで絡んでくるんだ?って感じですよね。
    シュウ 彼が「日本で行なわれた格闘技の試合映像を、頼まれてATT(アメリカン・トップチーム)などに送っていた」と発信したことに、ボクが「それはあり得ない」と異論を唱えたことだったわけですけど。ATTから「仕事のオファーが来た」というのはボクは調べなくても真っ赤なウソだと思っていたし、確認も取ってウソだと判明しました。ただ、ひとつ可能性があるとすると、もしかしたら彼は昔からの格闘技ファンで、一方的にどんどんビデオを送っていた可能性はあるな、と。
    ――それは、どういうことですか?
    シュウ あの時代って、インターネットはあったけれども本当に格闘好きの人ってK-1やPRIDEや修斗のビデオを日本のファンから買い取ったり送ってもらったり、そういうアクティビティって凄くいっぱいあったんですよ。
    ――ああ、それってプロレスでもよくありますね。
    シュウ だからプロレスのローカル大会の売店では堂々と「これ海賊ビデオでしょ?」と言いたくなるようなVHSが並んでいましたよ。で、ボクがなぜその可能性を指摘したかというと、じつはいまのUFCのマッチメーカーであるミック・メイナード、彼は10年前とかは普通のいち格闘技ファンで、そういう映像を凄くたくさん送ってもらったりしていたんですって。そのビデオは彼の宝物で、いまでも捨てずに全部家のガレージにあると言うんです。誰に送ってもらったかも名前もわかると言うんですね。それで「RIZIN大好きさん」の本名を伝えてミックに確認してもらったんですが、「RIZIN大好きさん」の本名で送られてきたVHSのテープはなかったそうです。
    ――そこまで調査してるんですか!
    シュウ しかし、普通ボクみたいな業界人にATTのダン・ランバードのことで噛み付いてくるか? って話ですよ(苦笑)。
    ――ここは勝てると踏んだんですかね。
    シュウ ちなみにダンって会社を100社以上経営していて、ホテルは2軒持ってるし、クルーズシップの会社も持ってますし。彼の家って31部屋ある23億円ぐらいの大邸宅ですからね。ボードデックも3つあるから同時に巨大な船を3隻停めることできますし。キッチンだってメイン、サマー用、アウトドア用と何種類かあるんですよ。で、もちろんオーシャンビューなんですがけど、360度ではなくて650度のオーシャンビューなんです。と言われてもよくわからないかもしれないですけど、とてつもない大金持ち、大実業家ですね。
    ――650度のオーシャンビュー(笑)。
    シュウ つまり、説明しなくてもわかると思いますが、ダンは忙しい人なんですよ。だから、勝手に送られているDVDやVHSなんか把握しているわけないんです。でも、ボクは一応「こういう人、知ってる?」と裏は取りましたよ。当然答えは「知らん」ですよ。仕事のオファーだったら何度もやり取りしているわけですし記憶にも残るはずなのに。さらに、あの当時のATTというと日本には内田統子さんという代理人がいましたが、ボクは彼女に頼まれて試合映像をダビングしていた人も知っていますからね。
    ――そんな人がいたんですね(笑)。
    シュウ 裏を取る前からあり得ないと思ったのはそこなんです。だから、本当に業界にいる人たちを舐めちゃいけないということですよ。
    ――その件も含めて、最近ネットでは「RIZIN大好きさん」の疑惑がいろいろ出ていたわけですが、じつは病気に関する疑惑についても、シュウさんは数ヵ月前からその物証は確保していたわけですよね。
    シュウ 少なくとも4月には完璧な証拠は持ってました。
    ・グッズ収集家から選手を守る
    ・当事者の奥さんと14分30秒の電話
    ・アメリカの女子MMA団体インヴィクタでも似たような事件が
    ・矢沢永吉の出待ち対策……続きは会員ページへ



    いま入会すれば読める5月更新記事・恐るべし朝倉未来の求心力!「RIZIN男祭り」振り返り21,000字■笹原圭一・いぶし銀のMMA職人・佐藤将光のアタマの中

    ・【傑作選】“奇人”朝日昇の「本当に恐ろしい昭和格闘技」

    ・大麻、傷害、違法オンカジ…関根“シュレック”秀樹の格闘家犯罪講座

    ・北陸2人の天才、元谷友貴とMIKUを育てた男■福本吉記インタビュー
    ・上谷沙弥vs中野たむは「岩谷麻優・退団」を潰したか
    ・【謎】ウナギ・サヤカは本当にそんなことを言ったのか・木村花さん急逝から5年…木村響子インタビュー「SNSに取り憑かれる前に」


    ・岩谷麻優スターダム退団、即マリーゴールド入団■

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  • 恐るべし朝倉未来の求心力!「RIZIN男祭り」振り返り21,000字■笹原圭一

    2025-05-13 10:52  
    大会後恒例!RIZIN広報・笹原圭一さんの「RIZIN男祭り」総括21,000字です!(聞き手/ジャン斉藤) 【1記事から購入できるバックナンバー】・いま最も幻想がある格闘家!日本拳法“史上最高傑作”木村柊也インタビュー
    ・「憎き」格闘技の現実……RIZIN香川を語ろう■笹原圭一
    ・75億円はGFLではなくRIZINに投資したほうがいい■シュウ・ヒラタ
    ・10回目のRIZIN大晦日19,000字で振り返る■笹原圭一
    ――笹原さん、『RIZIN男祭り』東京ドームはオープニングの「フンドシ・アベンジャーズ」から凄まじかったです!

    笹原 世界広しと言えど、フンドシから始まってタイトルマッチで終わるイベントはRIZINだけですよ!日本が誇る奇祭です(笑)。

    ――『男祭り』と言えば、PRDIEのときからやっていた太鼓が象徴ですが、今回の大会ポスターもそのビジュアルでした。

    笹原 PRIDEからやってきている社長やボクは太鼓にこだわりがありましたけど、広報の横島さんとか若手社員からすると、「なんでそんなに太鼓に命かけてんの?」という感じだったかもしれませんね(笑)。

    ――かつて『男祭り』で太鼓を叩いていた高田延彦さんにもオファーしたけど、「当該イベントには関わらない」と拒否されてしまって。

    笹原 高田さんには太鼓じゃなくて「出てこいや!」のオファーですね。太鼓はフンドシで叩くからお尻を出さなきゃいけない。以前の高田さんは事前にしっかりと身体を作って太鼓を叩いていたんですけど、今回は時間的に間に合わないと判断して「男の中の男たちよ、出てこいや!」と叫んでいただけないですか?とオファーしたんです。

    ――高田延彦の美学として、だらしないお尻は見せられないってことですね(笑)。

    笹原 高田さんの了承を得られたとしても、太鼓をどうするのか。いろんなアイデアが出たなかで「みんなで叩くのがいいんじゃないか」ってことで、RIZINのOBを中心に声をかけたんです。高阪(剛)さん、川尻(達也)さん、石渡(伸太郎)さんは即オッケーをいただけた。でもボクはどうしても神取(忍)さんにやってもらいたかったんですよ!これは今回の『男祭り』で何がなんでも実現させたかったんです!

    ――太鼓にフンドシ、高田さんに神取さんと、若手社員が呆れるのがよくわかる(笑)。

    笹原 でも神取さんにオファーしたら、すんなりOKをいただいて、これで『男祭り』の重要なピースがハマったと(笑)。

    ――神取さんといえばギャビ・ガルシア戦が流れたままRIZINの区切りの付き方にモヤモヤしてる……のはボクくらいかもしれないけど(笑)、この太鼓のオファーは素晴らしいです。

    笹原 神取さんってじつはRIZINで1試合もやってないんですけど、「RIZINで13戦してます!」みたいなオーラがあるじゃないですか(笑)。実際に初期RIZINを話題面から支えてくれましたし、それこそ高阪さん、川尻さんや石渡さんにも苦しい頃のRIZINに支えていただいたという感謝の心がありますけど。

    ――RIZINの最敬礼がフンドシのオファーなんですね(笑)。

    笹原 まぁでもその3人は付き合いが長いから「またRIZINがわけのわからないことやろうとしてる」って感じで、こっちの意図をすぐ汲み取ってくれたんです(笑)。でも日本人選手だけじゃなくて外国人ファイターも入れたほうがいいだろうってなって、柏木さんからマーク・コールマン、イリー・プロハースカ、ブアカーオにオファーしてもらったんです。

    ――PRIDE時代、高田さんのフンドシ姿って外国人から好奇の目で見られていて「タカダショーツ」と呼ばれてたんですよね。で、『kamipro』という雑誌で(アントニオ・ホドリゴ・)ノゲイラにフンドシ姿の特写をやってもらったときに「写真を海外には流さないでくれ」という条件で。お尻を出すことの恥ずかしさもあったり、何か誤解される格好ではあったみたいなんです。でも、ノゲイラは「タカダショーツ」の意味を理解していたからフンドシを締めてくれたんですけど。

    笹原 そこはイリーたちも同じ姿勢ですね。前日のリハーサルのときに、みんなジャージで参加してたんですけど、イリーだけはフンドシを締めてましたから(笑)。

    ――リハからやる気満々!(笑)。

    笹原 「俺のフンドシ姿を見てくれ!」っていう感じで、フンドシでドーム中を歩き回ってましたから(笑)。日本の昔から伝わるジャパニーズスタイルで祭りに参加できることに大興奮してました。おまけに終わったあとに謝礼を渡そうとしたら、「いや、いらない。お金のためにやったことじゃないから」って言われたんですよ。イリーこそ男の中の男ですよ!

    ――さすがだなあ(笑)。コールマンもPRIDEやハッスルで日本のプロレス格闘技文化に浸かっているからノリノリで。

    笹原 コールマンは「10日前に来日してしっかり身体を作りたい」というリクエストがありましたよ(笑)。

    ――それ、絶対に日本観光したいだけですよ!(笑)。

    笹原 まあでもコールマンもハッスルしてましたよ。前々日かな。選手が宿泊しているホテル前の道路に人だかりができてるんですよ。なんの騒ぎかと思ったら、コールマンが上半身裸で吠えていて(笑)。

    ――ハハハハハハハ!

    笹原 アメリカだとレジェンドとはいえコールマンにファンが群がらないじゃないですか。でもひさしぶりの日本でキャーキャー騒がれて嬉しかったんじゃないですかね。

    ――問題になっているホテル前の出待ちに加えて、コールマンの上半身裸は禁止ですね(笑)。

    笹原 ブアカーオに至ってはもともと『男祭り』で試合を組む予定で交渉してたんですよ。

    ――けっこうなスーパーファイトを調整していたとか。

    笹原 結局、話がまとまらなかったんですけど、試合じゃなくて太鼓をやってもらおうと。柏木さんに聞いてもらったんですよ(笑)。

    ――柏木さん、舌打ちしませんでした?「カードが白紙になった上にこんなオファーをする役目を!?」って(笑)。

    笹原 舌打ちはしてませんでしたけど、頭は抱えてましたね(笑)。でも柏木さんが交渉したらすんなりOKをもらえたんです。ただ、ブアカーオは最初はフンドシになることを嫌がってたらしいんですよね。

    ――あー、ブアカーオはK-1MAXだからPRIDEの文化を把握できてない。

    笹原 でも、「全員がフンドシになるよ」と伝えたら「あ、そうなの?」って受け入れてもらって、そんなこんなで7人のRIZINフンドシ・アベンジャーズが完成したわけですよ!

    ――最後に榊原さんもフンドシ姿で開幕宣言! 

    笹原 でも社長の本音は高田さんにやってほしかったんですよ。社長の格闘技の歴史は、高田さんと東京ドームで始まっていますから。

    ――1997年10月11日、PRIDE.1のヒクソン・グレイシー戦ですね……。

    笹原 そのPRIDEが始まった東京ドームで、しかもRIZIN10周年の男祭り。苦楽を共にした高田さんにやっていただくのがそりゃ一番ふさわしい。でも社長のオファーに反応がなくて、いきなりインスタに声明が上がって……で、最終的に社長がやることになったんですけど、社長の中では高田さんのポジションを無理やり奪ってやるみたいな感じになるのも嫌でしょうし、ずっと迷っていたんですよ。

    ――榊原さんの心中を察すると、それは理解できますね。

    笹原 でも「やる」と決断してからは、毎日のようにトレーニングして、食事制限もして、おまけに日サロに通って身体を焼いて。まさに「焼ける勇気を持って勝ちに行け」ですよ!(笑)。

    ――ハハハハハ!

    笹原 この企画、極秘で進めていたので、何も知らない人は「あれ?榊原さん、やけに焼けてるな」と不思議に思っていたと思います(笑)。

    ――そう考えると、リング上で脇を固めた笹原さんと佐伯さんがフンドシにならなかったのは男じゃないですよ。

    笹原 いやいや、ボクも全然フンドシには抵抗はないですよ。でもあそこで目立つのは社長だけでいいと思ったし、そもそもボクも佐伯さんもあそこでリングに上がる予定はなかったんですよ。社長が大会の3日前くらいに急に「ササと佐伯さんも上がってよ」って言われて。最終的には神輿を担ぐ役回りというか、悟空をアシストするボクが沙悟浄で、佐伯さんは猪八戒みたいなかたちになったんです(笑)。

    ――たしかにあそこで猪八戒・佐伯さんがフンドシになってたら、面白すぎて榊原さんを食っちゃいますね。

    笹原 だから社長に言ったんですよ。「社長やみんなが想像している以上に佐伯さんの身体は汚いからやめたほうがいいです!」って(笑)。

    ――ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

    笹原 なので祭りの法被を着て腕組みするかたちになりました(笑)。

    ――榊原さんが大会総括で高田さんと揉めた記憶がないと。

    笹原 ケンカ別れしたわけじゃなくて、すれ違いなんだと思うんですけどね。

    ――榊原さんが高田さんの役目は奪うつもりはなくても、結果的に榊原さんがスポークスマンとして“ビンス・マクマホン化”した流れがあったから高田さんが身を引いた雰囲気もありますよね。

    笹原 そこも社長が望んでそうなっていったわけでもないんですよね。いまの時代に合わせて少しずつスタイルを変えていった結果というか。ボクなんかが社長の成長物語なんていうのはおこがましいですけど、やっぱり時代の中で生きていかなきゃいけないし、戦っていかなきゃいけない。そういう意味では高田さんはずっとPRIDEの頃からの高田統括本部長のままのスタイルだった。それが悪いというわけではなく、高田さんの望む形とボクらが考えている形がちょっとずつズレができてしまったのかなと思います。

    ――PRIDE時代の榊原さんって、猪木さんや石井館長、谷川(貞治)さんと比べるとは愛嬌がないっていうか、あんまりメディアを受けするような人ではなかったですよね。

    笹原 冷たい感じのキャラクターでしたからね。「インテリ○○◯」とか言われたり(笑)。

    ――○○◯の3文字は「メガネ」ですかね(笑)。猪木さんがPRIDEのエグゼクティブ・プロデューサーをやっているときに高田さんがスポークスマン的役割をやるようになったじゃないですか。いろんな事情があって猪木さんはPRIDEを離れましたけど……。

    笹原 社長の総括の中で「去る者は追わず」と言ったじゃないですか。――あの言葉、PRIDE時代をよく知るファンにはたまらないんですよね。単なる冷たいものではない。
    ・「去る者は追わず」の真意とは何か

    ・「東京ドームは負け戦」のはずだった

    ・東京ドームを揺らす朝倉未来の求心力

    ・佐藤大介の煽りV史上最高傑作「朝久vsウザ強」

    ・篠塚辰樹、田丸辰、西谷大成はよくやった

    ・中村、Uはオマエなんだよ。

    ・皇治にマイクを渡さなかった理由

    ・非UFCで一番面白い?RIZINフェザー級

    ・ありがとうクレベル、鈴木千裕

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    いま入会すれば読める5月更新記事・いぶし銀のMMA職人・佐藤将光のアタマの中

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    ・北陸2人の天才、元谷友貴とMIKUを育てた男■福本吉記インタビュー
    ・上谷沙弥vs中野たむは「岩谷麻優・退団」を潰したか
    ・【謎】ウナギ・サヤカは本当にそんなことを言ったのか・木村花さん急逝から5年…木村響子インタビュー「SNSに取り憑かれる前に」


    ・岩谷麻優スターダム退団、即マリーゴールド入団■

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  • いぶし銀のMMA職人・佐藤将光のアタマの中

    2025-05-08 19:49  
    佐藤将光の頭の中を探るインタビューです!(このテキストは3月に配信されたものを再構成したものです)【1記事から購入できるバックナンバー】・「憎き」格闘技の現実……RIZIN香川を語ろう■笹原圭一
    ・「レスリング虎の穴」のストライカー野村駿太インタビュー
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    ・朝久泰央「K-1がブレイキングダウンに負けたと言われるわけにはいかなかった」
    ――今日は佐藤将光選手の思考について迫りたいと思います。
    将光 よろしくお願いします。
    ――まず練習環境についてなんですが……たとえば元谷(友貴)さんは最近は名古屋とアメリカン・トップチームの2つを行ったり来たりしてますけど、それまで明確な拠点を持ってなかったじゃないですか。将光選手からすると、どういうふうに見えるんですか。
    将光 自分でコーディネートするのがたぶんうまい人だなと思います。きっと行った先々で技術を得てるわけですよね。コーチに教わって作っていくやり方がいい人もいれば、自分で組み立てることができちゃう選手もいますよね。元谷選手でいえば、大晦日の秋元(強真)戦のテイクダウンの仕方も、ヒザを突っ込んでボディロックを取って引き込んだのは、ATTで学んできたんだろうなぁって見えましたけどね。
    ――将光選手はどういう練習環境なんですか?
    将光 基本は坂口道場でずっとやっていて、自分のジムを出してからはファイトベース中心であとは週1回ずつ坂口道場とクレイジービーと長南(亮)さんのトライブで練習してますね。出稽古は基本スパーがメインなんですけど、ATTはコーチから技術を習う練習があると思うんですよね。出稽古のスパーだとテクニックを誰かから教わることはないし、自分で使えそうな技を盗むしかない。スパーは何かを試す場っていうか。
    ――将光選手にヘッドコーチ的存在はいるんですか?
    将光 ボクのセコンドついてくれてるコクエイ・マックスって外国人がいるんですけど、2~3年ぐらい経つのかな。別のジムで会ったときに話しかけてくれて、教えてくれることがめっちゃいいから、コーチングしてもらってる感じですね。自分のジムのクラスもちょっとやってもらいながら、ボクもそこに参加して習っています。
    ――どういう方なんですか?
    将光 ええとね、ボクも何回か経歴を聞いたんですけど、飲んでるときなのですぐに忘れてるんですけど(苦笑)。
    ――将光さん、大丈夫ですか?(笑)。
    将光 大丈夫です(笑)。飲んでなくても1回聞いた話なのに忘れちゃって。思い出したり思い出さないときがあるっていう。
    ――経歴をよく把握してなくても、何か得るものがあるから信頼してるわけですよね(笑)。
    将光 そうですね。圧倒的に賢い。論理的ですね。
    ――「ビリー&エリー以上に謎コーチじゃないか」って話がコメント欄に出てますけど。
    将光 調べてもたぶん情報は出てこないと思います(笑)。いまクレイジービーの子たちにも教えてますね。
    ――ファンのあいだでセコンド論、コーチ論が活発なんですけども。コーチやセコンドが優秀だから選手を必ず勝たせるわけでもない。いろんな選手や関係者に話を聞くと一番は信頼関係だと。
    将光 コーチングはもちろん信用してなきゃ聞いたことをやろうともしないですし、提供するものがたしかだからコーチングをお願いするところはありますよね。
    ――そこはやっぱり性格や波長が合う・合わないこともありますよね。
    将光 もちろん人間なんで合う・合わないはあると思いますよ。
    ――成果は1年2年やってみて出るもんだし、すべてがうまくいくわけでは……。
    将光 すぐには出ないですね。なんでもそうですけど、すぐに結果を求められちゃうのはキツいですね。
    ――JTTだと成績が出ないときにビリー&エリーが悪いんじゃないか……という声が出たんですけど、もしかしたらいま教わったことが2~3年後に使えるかもしれないし。ATTに行って1年ちょっとしか経ってないけども、それなりの成果を出している元谷選手はセンスがあるっていうことですよね。
    将光 まあ、元谷選手はもともと強かったですもんね(笑)。
    ――そこに尽きますね!(笑)。
    将光 元谷さんの実力プラスATTのコーチングもあるだろうし、ATTにいっぱいいる練習相手から得るものがあると思うんで。
    ――元谷選手に話を聞いたときに、ATTに行く前はそれなりに身体を作ってからじゃないとしんどい……と。練習の強度が高いってことなんですけど、将光選手は海外で練習された経験はあるんですか?
    将光 チーム・オーヤマですね。25~27歳のときに3回ぐらい行かせてもらう機会があったんだけど、当時はサラリーマンやってたんで1ヵ月も行けないんですよ。休みを取らせてもらって2週間とか。UFCのランカーもいたりしたんで「こんな感じなんだな」「いまは勝てないけど、手が届く範囲にはいるんじゃないかな」と思いましたけどね。
    ――海外で練習することで世界との距離が測れたと。
    将光 そうですね。やっぱり映像で見てるだけだと測れない部分がめちゃめちゃあるんで。自分と隣に並んだときに測れるものがあるっていうか、触れ合って初めてわかるものがありますし。あとは練習をどういう風にやってるか。その頃は日本でスパーばっかりやってたんで、ちゃんとコーチがいることが新鮮だったかな。10年ちょっと前ですね。
    ――10年前でコーチがいることが新鮮なんですね。
    将光 もちろん一般クラスには教えてくれる人がいますけど、プロでやることはほとんどがスパーだけでしたね。追い込みでミットとかはやりましたけど、「相手のストレートが来たときにこうする」みたいなテクニカルな話はあんまりしてなかったかな。自分でYouTubeで見たり、スパーで得たものを試すみたいな。最初の頃はそういうやり方でしたね。
    ――いまも日本ではヘッドコーチという職業はまだ確立されてないですよね。 ジムの代表なり中心選手がヘッドコーチ的役割を兼ねている感じで。
    将光 そうね。相当少ないし、職業としては成り立たないんで、みんな片手間でやってるというか、他に仕事があって……そういうケースが多いと思いますけど。なんだろう。出稽古はあくまでスパーであって。受け入れる側は、外から来た人間に何かを教えるかといえばね。
    ――たしかにわざわざ外から来てる人間にテクニックを伝授しないですよね。
    将光 もしそういうところがあったら珍しいと思いますね、受け入れる側は外から来た選手に通用するか試すわけですよね。うまくいくもの・いかないものを洗い出す作業だと思いますけど。
    ――日本では職業コーチはまだ確立されてないけど、10年前から比べればジムの環境は形になりつつあるわけですかね。
    将光 そうですね。形はぼんやり見えてきましたよね。試行錯誤を重ねながら「こうやっていけばもっと伸びる」っていう。
    ――話は変わるんですが、久保優太戦の「シェイドラエフめちゃ強いけど荒さも少し見えはじめた」とポストしてました。あれはどういう視点だったのかなって。
    将光 圧倒的に強い。ちょっと荒さがあるなっていう風に感じた。穴は見えてないですね(笑)。
    ――あのポストはけっこうな反響がありましたよね。
    将光 まあまあ、いろんな声が届きましたけど、すべて反応しない。言いたいことだけ言うスタイルにしてますね(笑)。
    ――どういう声がありました?
    将光 「どこが荒いんだよ」みたいな(苦笑)。
    ――ド素人から「オマエに何がわかるんだ!?」みたいな言葉が飛んできたわけですね(笑)。
    将光 クレベル選手との試合が楽しみですね。ちょっと相性的にどうなのかな。シェイドゥラエフって打撃も強くて、テイクダウンに繋いでフィニッシュ。パウンドはいわゆるダゲスタン系というか、中東の感じの戦い方だと思うんですよね。クレベル選手みたいなタイプとはやったことがあるのかなぁ……って。
    ――クレベルみたいなグラップラーはなかなか……
    将光 そうですね。テイクダウンしても、クレベル選手は下から足が利くし、やっぱりなかなか攻めづらいと思うんですよね。クレベル選手は打撃も独特でリーチの長さを活かせる。相手が組みたくないからうまく使えてると思うし、シェイドゥラエフがどういう風に組み立ててくるのか。ガン無視で自分のやりたいことを押し付けてくるのか……なんか押し付けてきそうですけど、変わらず。
    ――シェイドゥラエフってちょっと身体が小さいんですよね。
    将光 もともとバンタムで計量オーバーかなんかしてフェザーに上げたって聞いたんですけどね。長さ的にはクレベル選手のほうがあるんじゃないですかね。
    ――あとクレレベルほどの極めのある選手とやったことがないですね。
    将光 そうね。いままでは潰せてたけど、クレベル選手がシェイドゥラエフに「何か違うな」って感じさせたら、面白くなりそうな気はしますよね。
    ・相手がイヤなところで勝負する
    ・持ち札をいつ出すか相手との心理戦
    ・負けてもやり方が間違ってないときもある
    ・楽しく生きるための格闘技
    ・ストライカーが強くなれば、その対策も進む
    ・癖はわかっていてやってる場合もある
    ・試合中、選手が動けなくなる理由……13000字インタビューは会員ページへ続く

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  • 木村花さん急逝から5年……木村響子インタビュー「SNSに取り憑かれる前に」

    2025-05-08 10:13  
    元プロレスラー、木村響子さんインタビュー。響子さんの娘だった木村花さんはスターダム所属のプロレスラーだったが、フジテレビのリアリティ番組『テラスハウス』に出演中、誹謗中傷がきっかけで2020年5月に命を経った。あれから5年、現在はSNSの誹謗中傷問題に取り組む響子さんに話を伺った(聞き手/ジャン斉藤)
    【1記事から購入できるバックナンバー】・リングスジャパンは仲が悪かったのか?■長井満也
    ・TAJIRIかく語りき「奇跡のプロレスから離れて」
    ・なぜ『極悪女王』で“ブック”というネットスラングが使われたのか
    ・エル・リンダマンのグレイトなプロフェッショナルインタビュー

    木村花メモリアルマッチ 5月23日(金)後楽園ホール 

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    ――先日、響子さんの講演会に参加させていただいたんですが、SNSの誹謗中傷がテーマだったので、けっこう重い雰囲気なのかなと思ったら、全然そんなことはなかったのでビックリしました。
    木村 そうなんですよ。やっぱり重い空気になっちゃうと、解決に繋がらないなと思っていて。講演って、なんか堅苦しいイメージがあるじゃないですか。それを崩したいっていうか、イベントみたいな感じにして「人権問題ってすぐ近くにあるんだよ」ってことを考えてほしいんですよね。だから、ちょっと風変わりなスタイルでやってます。
    ――こういった講演活動を続けていく中で、試行錯誤しながらやり方を見つけていった部分はあるんですか?
    木村 そうですね。一番最初は、じつは小学校の授業から始まったんですよ。小学校でそういう授業をやりたいってところからスタートして。私の小学校5、6年生のときの恩師が本当に素晴らしい先生で、その方に相談したら「もう自分は引退してるから」ってことで現役の先生を紹介してくれて。それが千葉大学の藤川大佑教授。いじめ問題やSNSの専門家なんですけど、そこで繋がった教育関係の人たちとチームを作って「どんな授業にしようか?」ってミーティングを重ねました。授業では、たとえば「パパはわるもの」っていう本を読んだりして、講演はそれをベースに大人向けにアレンジしていく感じですね。参加する人によって内容を変えて、1回として同じ講演にならないように心がけてます。
    ――毎回かたちを変えるわけですか。
    木村 それに講演ってどんな人が来るかわからないんですよ。今日の参加者に「この内容、ちょっと難しいかな」と思ったら、アドリブで噛み砕いたり、(木村)花の話を多めにしたり、配分を変えてます。学校も、教育熱心な家庭が多い地域、田舎で3世代同居が多い学校とか、環境によって内容を調整してます。とにかく心に残る講演や授業にしたいなって。
    ――その場その場で柔軟に変えていくんですね。
    木村 そこはプロレスやってたからできるんですよ(笑)。お客さんの反応を見ながら、次の一手を考える。プロレスラーの経験が活きています。人生、何ひとつ無駄なことってないんだなって。
    ――たしかに、プロレスってその場のリアクションで展開していくものですよね。
    木村 お客さんとのコミュニケーションが大事だし、相手の反応を感じながら進めていきますからね。
    ――プロレスをまったく知らずに講演に来る人もいるわけですよね。
    木村 授業でもプロレス見たことない子たちがいっぱいいるから、最初にプロレスの試合動画を流すんですよ。そこから興味を持ってもらえるように。
    ――このあいだの講演も、響子さんの入場シーン風な演出から始まりましたよね(笑)。
    木村 そうそう(笑)。イベントっぽくしたくて、最初は本物のリングアナさんに来てもらったこともあったんですけど。
    ――こないだの講演会は年配の方が中心だったから、SNSの使い方自体がよくわからないって人も多かったですけど、子供たちはSNSネイティブですよね。
    木村 そうなんですよね。年配の方だと、そもそもSNSに馴染みがない人もいるし、子供たちは使いこなしてるけど、意識の違いがありますね。講演に来る人って、人権やSNSの問題に興味がある層や意識が高い層が多いから、問題を起こしちゃう層には届きづらいかなって思うんです。だから学校での授業は学年ごとや全校生徒でやるから、興味がある子もそうじゃない子も一緒に考える環境ができて、そこはすごく大事ですね。
    ――わざわざ講演会に来るってことは、問題への理解ができてるってことですよね。
    木村 でも、逆に意識が高すぎて、他人事みたいに考えちゃう人もいるんですよ。「私は絶対そんなことしない」みたいな。それはそれでちょっと危ういなって。誰でも、状況によっては問題を起こす可能性があると思ってるので、そこが難しいですね。やっぱり授業が一番やりがいがありますね。子供たちは本当に真っ直ぐで、核心をつく質問や意見をくれるんです。
    ――子供だと大人の視点とはまた違うんでしょうね。
    木村 もう、逆に学ばされることばっかりですよ。中学校でやったときに事前に匿名アンケートで質問を集めたんですけど、ある子が「SNSって、なんのためにあるんですか?」と。それがめっちゃ良い質問で、みんなで考えたんです。そしたら「世の中をより良くするため」っていう答えが出てきて。シンプルだけど、大人だと正解を探そうとしすぎて、なかなか出てこない答えなんですよね。
    ――ああ、大人だとなかなか……。
    木村 で、「世の中をより良くするために何が必要?」って聞いたら、日本語が母国語じゃない、普段ちょっと問題を起こしがちな子が手を挙げて「そういうことしてる人がいたら、みんなで止めて、仲良くすること」って言ったんですよ。それがもう真理すぎて。 大人からは出てこないような言葉ですよね。最後には、「じゃあ、みんなで仲良くするために何が必要?」って聞いたら、「相手に対する愛とリスペクト」って答えてくれて。もう刺さりまくりましたねぇ。
    ――ボクの世代って、大人になってからSNSが出てきたんで、何か得体の知れないものに触りながら、火傷しつつ学んできた感じがあるんですけど。いまの子供たちって最初からSNSがある世界だから、距離感や捉え方が全然違うんですよね。
    木村 ジャンさんは何歳ですか?
    ――49歳です。
    木村 じゃあ同世代ですね。たとえば校長先生とか教頭先生とか、学校で権限を持っている方々って、SNSネイティブじゃないんですよね。だから、ちょっとピンポイントでズレたことを言っちゃう。「見なきゃいい」とか「学校はSNSを推奨してません」とか……。学校によっては、携帯の持ち込み禁止、使用禁止にしてたり、SNSのトラブルには「学校は関与しません」ってスタンスのところもあるんですよ。それで、私は先生向けの講演会もやってるんですけど、先生たちがかなり疲弊してて。「どこからどこまでが学校の責任なんですか?」みたいな声が出てくるんです。
    ――責任の範囲は難しい問題ですよね。
    木村 もちろん先生も大変だからそういう言葉が出ちゃったんだと思うんですけど、「どこまで学校に責任があるんですか?」って聞いたときにショックを受けたんです。生徒の目線で寄り添って問題を解決しようという余裕がないわけですよね。たとえば不登校になってしまった子がいたとして、学校での人間関係がSNSでも繋がってるわけですよね。未成年だから、第一の責任は保護者にあるかもしれないけど、学校は何もしなくていいわけじゃない。トラブルを防ぐ努力や、子供たちに啓発する義務がありますので……やっぱりモラル教育って、SNSネイティブの子供たちにはとくに大事なんですよね。私たちのプロジェクトでもそこはやってるんですけど、「これしちゃダメ、あれしちゃダメ」ってルールを教えるだけじゃ、子供たちの心に残らないんですよ。「全然興味ないから話は聞かない」っていう子も巻き込みたい。だから、楽しさや明るさってすごく必要だなって思ってます。
    ――いまのSNSのルールは、法律も含めてまだ追いついてない部分がありますね。
    木村 そうなんですよ。花の事件ではめっちゃ複雑なのが、SNSでの誹謗中傷の問題と、テレビの番組制作が出演者の人権を守ってなかった問題が混ざってるんですよね。問題の番組自体が誹謗中傷を誘導してたんじゃないかと。自由に物を言いたい人は「テレビ局が悪い」っていうし、テレビの内容をもっと自由にすべきだと思ってる人は「いや、誹謗中傷した人が悪い」っていう。でも、私は「両方だよ」って思うんです。
    ――木村花さんの『テラスハウス』の件でいえば、テレビ局がなかなか責任を認めない現実があるわけですね。
    木村 そうですね。裁判を2年間やって、ほとんど証拠が出されなかったんですよ。ほとんど進展なく2年間が過ぎて。さすがに酷すぎると思って、このあいだ記者会見を開いたんですけど。
    ――フジテレビ側は不誠実だと?
    木村 しかも、どんどん後退してるんですよね。BPO(放送倫理・番組向上機構)の見解を受けたあとは真摯に受け止めて「今後の作品作りに取り組んでいきます」みたいなことを言っていたのに、裁判になったら「番組との因果関係はない」「SNSなんか見なきゃいいし、見た本人の責任」みたいな。不誠実ですし、二枚舌ですよね……フジテレビはこうしていろんな問題に蓋してきたことが地続きになって、いまの問題になってると思います。私が思うのは不祥事が起きたときに、独立した公正な第三者委員会が立ち上げられたかどうかで、本当に公正にしようとしてるかどうかがわかるんですよ。例えるなら、詐欺組織があって、その組織の人が「自分たちで調べます」みたいな話じゃないですか。いくらでも結果ありきで操作できちゃう。公正さがないんです。
    ――事件が起きたときはそれなりの態度を取るけど、その事件が世間に広がらないなら、そのまま済ませてしまおうと。
    木村 もう完全に風化させようとしてるようにしか見えないんですよ。裁判も本当に非協力的で……。
    ――今回の中居正広の件でフジテレビがここまで動いてるのは、問題が大きくなって収まりがつかなくなったからですよね。最初の会見で収まってたら、ここまでの対応してなかっただろうなと。
    木村 そうなんです。結局、株主やスポンサーが動かないと動かないんですよね。力のない個人が、力のある大企業に対して被害を受けたときに、潰されてしまう。そこが問題なんです。
    ・なぜ被害者側が叩かれるのか

    ・炎上すればお金になる歪んだシステム

    ・プロレスラーとSNS

    ・私自身の誹謗中傷が減った理由

    ・5年ぶりのスターダム…13000字の続きは会員ページへ


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