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佐藤将光の頭の中を探るインタビューです!(このテキストは3月に配信されたものを再構成したものです)


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「憎き」格闘技の現実……RIZIN香川を語ろう■笹原圭一




――
今日は佐藤将光選手の思考について迫りたいと思います。

将光 よろしくお願いします。

――
まず練習環境についてなんですが……たとえば元谷(友貴)さんは最近は名古屋とアメリカン・トップチームの2つを行ったり来たりしてますけど、それまで明確な拠点を持ってなかったじゃないですか。将光選手からすると、どういうふうに見えるんですか。

将光
 自分でコーディネートするのがたぶんうまい人だなと思います。きっと行った先々で技術を得てるわけですよね。コーチに教わって作っていくやり方がいい人もいれば、自分で組み立てることができちゃう選手もいますよね。元谷選手でいえば、大晦日の秋元(強真)戦のテイクダウンの仕方も、ヒザを突っ込んでボディロックを取って引き込んだのは、ATTで学んできたんだろうなぁって見えましたけどね。

――
将光選手はどういう練習環境なんですか?

将光
 基本は坂口道場でずっとやっていて、自分のジムを出してからはファイトベース中心であとは週1回ずつ坂口道場とクレイジービーと長南(亮)さんのトライブで練習してますね。出稽古は基本スパーがメインなんですけど、ATTはコーチから技術を習う練習があると思うんですよね。出稽古のスパーだとテクニックを誰かから教わることはないし、自分で使えそうな技を盗むしかない。スパーは何かを試す場っていうか。

――
将光選手にヘッドコーチ的存在はいるんですか?

将光
 ボクのセコンドついてくれてるコクエイ・マックスって外国人がいるんですけど、2~3年ぐらい経つのかな。別のジムで会ったときに話しかけてくれて、教えてくれることがめっちゃいいから、コーチングしてもらってる感じですね。自分のジムのクラスもちょっとやってもらいながら、ボクもそこに参加して習っています。

――
どういう方なんですか?

将光
 ええとね、ボクも何回か経歴を聞いたんですけど、飲んでるときなのですぐに忘れてるんですけど(苦笑)。

――
将光さん、大丈夫ですか?(笑)。

将光
 大丈夫です(笑)。飲んでなくても1回聞いた話なのに忘れちゃって。思い出したり思い出さないときがあるっていう。

――
経歴をよく把握してなくても、何か得るものがあるから信頼してるわけですよね(笑)。

将光 そうですね。圧倒的に賢い。論理的ですね。

――
「ビリー&エリー以上に謎コーチじゃないか」って話がコメント欄に出てますけど。

将光
 調べてもたぶん情報は出てこないと思います(笑)。いまクレイジービーの子たちにも教えてますね。

――
ファンのあいだでセコンド論、コーチ論が活発なんですけども。コーチやセコンドが優秀だから選手を必ず勝たせるわけでもない。いろんな選手や関係者に話を聞くと一番は信頼関係だと。

将光
 コーチングはもちろん信用してなきゃ聞いたことをやろうともしないですし、提供するものがたしかだからコーチングをお願いするところはありますよね。

――
そこはやっぱり性格や波長が合う・合わないこともありますよね。

将光
 もちろん人間なんで合う・合わないはあると思いますよ。

――成果は1年2年やってみて出るもんだし、すべてがうまくいくわけでは……。

将光 すぐには出ないですね。なんでもそうですけど、すぐに結果を求められちゃうのはキツいですね。

――
JTTだと成績が出ないときにビリー&エリーが悪いんじゃないか……という声が出たんですけど、もしかしたらいま教わったことが2~3年後に使えるかもしれないし。ATTに行って1年ちょっとしか経ってないけども、それなりの成果を出している元谷選手はセンスがあるっていうことですよね。

将光
 まあ、元谷選手はもともと強かったですもんね(笑)。

――そこに尽きますね!(笑)。

将光
 元谷さんの実力プラスATTのコーチングもあるだろうし、ATTにいっぱいいる練習相手から得るものがあると思うんで。

――
元谷選手に話を聞いたときに、ATTに行く前はそれなりに身体を作ってからじゃないとしんどい……と。練習の強度が高いってことなんですけど、将光選手は海外で練習された経験はあるんですか?

将光
 チーム・オーヤマですね。25~27歳のときに3回ぐらい行かせてもらう機会があったんだけど、当時はサラリーマンやってたんで1ヵ月も行けないんですよ。休みを取らせてもらって2週間とか。UFCのランカーもいたりしたんで「こんな感じなんだな」「いまは勝てないけど、手が届く範囲にはいるんじゃないかな」と思いましたけどね。

――
海外で練習することで世界との距離が測れたと。

将光
 そうですね。やっぱり映像で見てるだけだと測れない部分がめちゃめちゃあるんで。自分と隣に並んだときに測れるものがあるっていうか、触れ合って初めてわかるものがありますし。あとは練習をどういう風にやってるか。その頃は日本でスパーばっかりやってたんで、ちゃんとコーチがいることが新鮮だったかな。10年ちょっと前ですね。

――
10年前でコーチがいることが新鮮なんですね。

将光
 もちろん一般クラスには教えてくれる人がいますけど、プロでやることはほとんどがスパーだけでしたね。追い込みでミットとかはやりましたけど、「相手のストレートが来たときにこうする」みたいなテクニカルな話はあんまりしてなかったかな。自分でYouTubeで見たり、スパーで得たものを試すみたいな。最初の頃はそういうやり方でしたね。

――
いまも日本ではヘッドコーチという職業はまだ確立されてないですよね。 ジムの代表なり中心選手がヘッドコーチ的役割を兼ねている感じで。

将光
 そうね。相当少ないし、職業としては成り立たないんで、みんな片手間でやってるというか、他に仕事があって……そういうケースが多いと思いますけど。なんだろう。出稽古はあくまでスパーであって。受け入れる側は、外から来た人間に何かを教えるかといえばね。

――
たしかにわざわざ外から来てる人間にテクニックを伝授しないですよね。

将光 もしそういうところがあったら珍しいと思いますね、受け入れる側は外から来た選手に通用するか試すわけですよね。うまくいくもの・いかないものを洗い出す作業だと思いますけど。

――
日本では職業コーチはまだ確立されてないけど、10年前から比べればジムの環境は形になりつつあるわけですかね。

将光
 そうですね。形はぼんやり見えてきましたよね。試行錯誤を重ねながら「こうやっていけばもっと伸びる」っていう。

――
話は変わるんですが、久保優太戦の「シェイドラエフめちゃ強いけど荒さも少し見えはじめた」とポストしてました。あれはどういう視点だったのかなって。

将光 圧倒的に強い。ちょっと荒さがあるなっていう風に感じた。穴は見えてないですね(笑)。

――
あのポストはけっこうな反響がありましたよね。

将光
 まあまあ、いろんな声が届きましたけど、すべて反応しない。言いたいことだけ言うスタイルにしてますね(笑)。

――
どういう声がありました?

将光
 「どこが荒いんだよ」みたいな(苦笑)。

――
ド素人から「オマエに何がわかるんだ!?」みたいな言葉が飛んできたわけですね(笑)。

将光
 クレベル選手との試合が楽しみですね。ちょっと相性的にどうなのかな。シェイドゥラエフって打撃も強くて、テイクダウンに繋いでフィニッシュ。パウンドはいわゆるダゲスタン系というか、中東の感じの戦い方だと思うんですよね。クレベル選手みたいなタイプとはやったことがあるのかなぁ……って。

――クレベルみたいなグラップラーはなかなか……

将光
 そうですね。テイクダウンしても、クレベル選手は下から足が利くし、やっぱりなかなか攻めづらいと思うんですよね。クレベル選手は打撃も独特でリーチの長さを活かせる。相手が組みたくないからうまく使えてると思うし、シェイドゥラエフがどういう風に組み立ててくるのか。ガン無視で自分のやりたいことを押し付けてくるのか……なんか押し付けてきそうですけど、変わらず。

――
シェイドゥラエフってちょっと身体が小さいんですよね。

将光
 もともとバンタムで計量オーバーかなんかしてフェザーに上げたって聞いたんですけどね。長さ的にはクレベル選手のほうがあるんじゃないですかね。

――あとクレレベルどの極めのある選手とやったことがないですね。

将光
 そうね。いままでは潰せてたけど、クレベル選手がシェイドゥラエフに「何か違うな」って感じさせたら、面白くなりそうな気はしますよね。


・相手がイヤなところで勝負する
・持ち札をいつ出すか相手との心理戦
・負けてもやり方が間違ってないときもある
・楽しく生きるための格闘技
・ストライカーが強くなれば、その対策も進む
・癖はわかっていてやってる場合もある
・試合中、選手が動けなくなる理由……13000字インタビューはまだまだ続く

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