【ニコ生会員の皆様にNHK番組ご視聴のススメ】
ー5/20のNHK「映像の世紀」(AIー未来を夢見た2人の天才)
アメリカの異能の天才、レイモンド・カーツウァイルという未来学者が2013年に「シンギュラリティは近い(Singularity is Near) 」(邦訳本タイトル「ポストヒューマン誕生」)という本を出版しました。
「汎用人工知能が人間社会を根本から変える」というカーツウァイルの主張は世界のありとあらゆる天才の脳髄を直撃しました。
そしてカーツウァイルの主張を信じるか信じないかに関わらず、「シンギュラリティ」が国際政治の力学の通奏低音となり、日本と世界の今後の在り方を左右している事は皆さんが日々体験している通りです。
そもそも私がメルマガ配信を始めたのも、日本では耳馴染みの少ない「シンギュラリティ」という単語をできるだけ多くの方に知っていただきたいという思いからです。だから2021/7/2のメルマガ配信第一回目のタイトルは「第一回メルマガ 私がシンギュラリティにこだわるワケ」でした。
メルマガの書き出しはこんな風でした。
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【メルマガ 第一弾】
「シンギュラリティって何だ?」
ー中国共産党とビッグテックが見据える人類の未来
私がなぜ、第一回のメルマガの題材を、専門分野である時事問題にせず、シンギュラリティにしたのか。
それは、世界の大きな動きと、シンギュラリティという考え方が、密接不可分だと確信しているからです。
昨年のアメリカの大統領選挙はなぜあんなに混乱したのか。中国はなぜ、昨年大きな犠牲を払って香港の自治を奪い、世界覇権国への道をひた走っているのか。こうした根源的疑問にも、シンギュラリティという観点は重要な示唆を与えてくれます。
今年5/13、中国の人民解放軍の機関紙は、AI(人工知能)と「兵士の大脳」を直接繋いで、世界最強の軍隊を作る構想を発表しました。
これについて、時事通信は、
「民主的な国では、このような技術の軍事利用は倫理面の制約が大きい。しかし、中国では『党が決定すれば規制は受けない』(外交筋)。中国軍は米国が確立できていない新技術をいち早く兵器に応用し、優位に立とうとしている。」
と解説しました。
しかし私は全く違う見方をしています。中国は、最終的には、兵士だけでなく、全ての中国人(さらには全ての人類)を、巨大な人工知能(AGI=汎用人工知能)にコネクトして、全く新しい世界の覇者になろうとしているのだと、私は考えています。
この根底にあるのが、シンギュラリティ(技術的特異点)という考え方です。
「シンギュラリティ」は、人工知能の世界的権威であるアメリカの未来学者、レイ・カーツウァイルが2005年に記した「シンギュラリティは近い」(The Singularity is near)という著作によって、世界に広く知られるようになった概念です。
「2045年までに登場する、一つの特別な人工知能によって、人類の姿は劇的に変化する」というカーツウァイルの理論は、その衝撃的な内容から、未だに賛否両論があります。
しかし、
・中国の習近平国家主席
・Amazonのジェフ・ベゾス
・Microsoftのビル・ゲイツ
・Teslaのイーロン・マスクなど、
いい意味でも悪い意味でも、人類の近未来に強い影響力を持つほとんどの人物が、このシンギュラリティという考え方を、何らかの形で信奉している事は紛れもない事実です。
(後略)
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この時の問題意識は、今も全く変わっていません。
そして、シンギュラリタリアン(=カーツウァイルの「汎用人工知能によるシンギュラリティの到達は近い」という主張を是とする人)であるドナルド・トランプ氏が大統領になった事で、世界が人工知能と汎用人工知能が紡ぐ世界により深い関心を寄せています。
トランプ大統領のUSAID・教育省の解体から世界同時相互関税まで、全ての政策には、シンギュラリティの考え方が根本にあります。
①現在世界を牛耳っているディープステイトが維持・強化している「世界秩序」による。戦争と殺戮の連鎖を止める
②現在の世界秩序にとって代わられる新しい秩序は、近い将来完成される一台の汎用人工知能(≒超知能)によって作られる
③共産党独裁の中国よりも早く、自由主義に基づいた善なる汎用人工知能を完成させる事こそ、アメリカの責務である。
🟥なかなか進まないシンギュラリティと汎用人工知能に対する理解
しかし、初回メルマガからまもなく丸4年が経とうとしていますが、日本においてはシンギュラリティと汎用人工知能についての理解は遅々として進んでいません。
もちろん、私のメルマガを読んで下さる会員の皆様の理解が日に日に深まっている事については力強い手応えを感じています。
しかし、日本人全般の理解という意味では、4年前からあまり進んでいないという気がします。発信者としての自分の力不足を痛感します。
そんな中で昨夜NHKが「映像の世紀」というシリーズの中で、以下のようなタイトルの番組を放送しました。
◆ 5/20 NHK「映像の世紀」AIー未来を夢見た2人の天才
この番組も、AIとAGIに関する理解という意味ではナレーションから編集に至るまで、絶望的に質が低いと言わざるを得ません。
ただ、最近メルマガ会員になっていただいた方でAIやAGIについてあまりよくわからないという方にとって、人工知能開発の基本を知るという意味では、視聴する価値があるものと考えます。
特に人工知能を語る上で避けて通る事が出来ない「アラン・チューリング」「フォン・ノイマン」「デミス・ハサビス」などの人名や「教師あり学習」「ディープ・ブルー」「ワトソン」「アルファ碁」といった基本単語を再確認するという意味は少なくないと思います。
また、かねてメルマガを購読して下さっている方々にとっては、私がなぜ「絶望的に低レベル」と評しているのかを考えながら批判的に観ていただけたら、いくつか啓発される事もあるかと思います。
今から視聴するためには2つのやり方があります。
①NHKの見逃し配信を利用する
②5/29の再放送を観る
今後この番組を叩き台に、ニコ生配信を行うつもりです。番組を観ていない方でも理解できるようなニコ生番組にしますが、ご覧になっておいていただくとより深く理解出来ると思います。
皆さんお忙しいとは思いますが、時間を作って観ていただけたらと思います。
(続く)